有田の町が今日『陶磁器』の里として全国的に知れ渡ったのには、
『泉山』の地で磁器の
『磁石鉱』が国内で初めて発見されたことが、そのスタートともいえます。
それと同時に、
この
磁石鉱『石場』近くを流れる渓流には、砕石された陶石を砕くための
『唐臼』(水車)が数多く作られていたといい(実は『菖蒲の隠者』実店舗の場所も、昔は『唐臼』の水車が設置されていた場所でした
⇒) その数も
泉山、中樽、白川、猿川等の渓谷を中心に100以上もの
『唐臼』が設置されていたとされ、当時の情景を記した文献には、以下のような記述もあります。。
− 年木谷と泉山石場からの水流は、中樽の流れと合わせて本川となり、次に白川の清流といっしょになって西へ向かう。また岩谷川内の奥の大谷の流れは切り立った岩場の間を流れて猿川となる。こうした流れには堰がつくられ、陶石をくだく水碓小屋が点々と設けられていた。
月の冴える夜に皿山を散歩すると、唐臼の音が月影をくだくように聞こえ、河鹿の鳴き声もまじって、皿山の交響楽を聞く思いであった。。。 −
昔
『唐臼』があった場所に、現在住んでいる隠者は、静まり返った夜の床の中で家の横を流れる
『鬢毛川』の流れる川音に耳を澄ませ、昔この周辺には多くの
『唐臼』があり、その
『唐臼』がいったいどんな交響楽を奏でていたのだろうかと思いを馳せ、ロマンを感じてしまいます。。。今では想像を膨らませる事くらいしか出来ませんが、出来る事ならば一度その音を聴いてみたかったものです。。
陶磁器製造に欠かせない『磁石鉱』と、やきもの作りに欠かせない豊富な水が揃ったこの土地は、若い頃はそれが当たり前という程度にしか感じていなかったことが、年を取るにつれ、とても自然に恵まれた土地だったのだということを再認識させられます。。
『石場』(磁石鉱跡)がある
『泉山』という地名は、その名のとおり昔から水の湧き出る泉がたくさんあったためと言われていて、実際に『菖蒲の隠者』の実店舗近くには、今でも(使われているところは少なくなりましたが)たくさんの
井戸があり、しかもその水質は全国19位にも選ばれた事があるほどの
名水で、特に透明度が高い硬水は酒用として最適とされた事から、近隣の多くの酒蔵がこの名水を求めて水を汲みにくるほどです。
この
『泉山』の井戸の水源といわれるのが、先の記事で紹介した
『猿川』の水源となっている
『大谷』(地元ではウータンと呼びます)の方から来る水脈といわれ、石場磁石鉱をくぐって地下水として湧き出ているということです。
この
『大谷』(ウータン)という土地も、隠者が幼い頃によく遊びに出掛け、想い出の多い場所で、当時は
『ウータン』には
『お化け』が出るという噂もあり(笑)、子供にはちょっと怖い場所という記憶も残る土地ですが。。。
当時『道路工事』?『堤防工事』?などが行われていたせいか、切り崩されてむき出しになった岩盤混じりの山肌では、たくさんの
水晶を見つける事ができ、私たち子供達は
水晶取りに良く出掛けていました。(現在では山肌にも木々が生えて水晶を探す事は難しくなってしまっているようです)
溶岩の隆起で出来た『黒髪山』、岩盤が多い地形、磁石鉱の山、水晶が取れる山。。。
有田を取り巻くこんな自然環境が、素晴らしい
『名水』を育んできたのかも知れません。
世界に知られる『有田焼』のブランドばかりが際立っているせいか、あまり注目される事も無かったこの
素晴らしい自然環境も、大事にしていきたい
『有田』のかけがえの無い財産ですね。。
以下に有田の渓流の流れと、古窯跡の地図をgoogleマップで紹介してみました。
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